所謂モダンジャズ(ビバップ)が世に誕生して70年以上経った今でさえ、愛され続け、研究対象となっているThelonious Monk
昨年は素晴らしい未発表音源も発掘された
私も多分に漏れず彼の音楽のファンであり、好んで彼の曲をライブ等で演奏している。最近改めて彼の曲を自分で採譜し、分析したところいくつかのことに気づかされた
世の中には長年演奏され続けてきたジャズスタンダードと呼ばれる曲が存在する。なぜ、それらの曲が長年演奏されてきたのか?その理由はいくつか考えられるが、その一つに、美しいメロディーを持ち、比較的シンプルな構造で出来上がっている、ということが考えられると思う
少人数での演奏されるモダンジャズにおいて、元々の曲の様々な要素が簡略化され、または、意識的に除かれていった。
様々な加工が加えられても、その美しさを失わない曲達、それが何十年も演奏され続けてきた理由の一つだと思う
さて、改めてモンクのオリジナル曲をそういった観点から観察すると、彼の曲がいかにシンプルに出来上がっているかに驚かされる。
構造(コードチェンジとフォーム)は別のスタンダード曲やブルースフォームなどを用いている場合もあるし、全くのオリジナルの場合もあるが、往々にしてその録音の響きとは裏腹にとてもシンプルである
そのシンプルな構造に対してメロディーはこれでもか!というくらいギリギリのハーモニーやリズムで構成されている。しかしそれらは決して滅茶苦茶なものではなく、しっかりと構成されており、美しいものに仕上がっている
現代では様々な教本・曲集・コピー譜が世の中に出回っている。欲しい譜面があったらインターネットで検索すれば恐らくどんな曲でも手に入る世の中だ
以前は「自分でトランスクライブしなさい!」と言っていた偉大なミュージシャンたちでさえ、自分たちの演奏のトランスクリプションを販売する始末で、彼らでさえそうせざる負えない時代なのかと思うとますますジャズ界の未来は迷走してしまうのではないかと思ってしまう
しかし、今回自ら改めて採譜し分析したことによって、多くを学ぶことが出来た。
テクノロジーを利用し、効率化していくことも大切だが、省いてはいけないプロセスもあるということを、今回改めて感じた